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歯科と全身について
京都市中京区 たけち歯科クリニック 歯科医師の川原です。
今回は歯科と全身についての論文を紹介します。
Clinical considerations for medication-related osteonecrosis of the jaw: a comprehensive literature review
薬物関連の顎骨壊死に対する臨床的考察:包括的な文献レビュー
難しそうな内容ですね、そもそも英語ですし。
ちなみに書いたのは私です。
(めちゃくちゃ手伝ってもらいました)
簡単?にいうと『特定の薬を飲んでる人が、歯科治療をすることで顎骨が壊死してしまうリスクについてまとめたよ』という内容です。
この内容は昔からものすごく調べられてきてるもので、歴史があります。
なぜ薬が関与して顎骨だけ特有に壊死が起こるのでしょうか?
理由のひとつは顎骨がさらされる環境、つまり口腔内細菌の存在です。
特に抜歯などの外科的処置を受けた場合、顎骨は口腔と直接交通することになります。
口腔内衛生環境の悪化が顎骨壊死の発症因子・増悪因子になります。
さらに顎骨は全身の骨なかで新陳代謝がもっとも速い組織なので、服用した薬剤が顎骨に高濃度に沈着しやすいことも理由のひとつと考えられています。
この内容は外科的処置の注意点に注目されがちですが、今回の論文では、外科的処置以外にも注目してます。
意外だったのは、入れ歯が合わない患者さんもリスクがあるということ。
合わない入れ歯によって歯茎に傷が出来ることあります。そこから顎の骨に刺激が加わり壊死につながることがあります。
入れ歯を調整・新製することでリスクを減らすことが出来ます。
医科の先生から『歯医者さん行ったらこの薬飲んでること伝えてね』と言われることもあります。
昔は、処置前後でお薬止めましょうということもありました。
今は基本的に休薬なしで外科処置もOKです(休薬するデメリットが大きいため)
そして、顎骨壊死にとってもっとも大切なことはその予防です。顎骨壊死は『感染』が引き金となって発症・増悪します。
したがって『口腔衛生の改善』と『感染対策』を徹底することが重要です。
気軽に相談できるかかりつけの歯科医院を持ち、定期的な検診を欠かさないようにしましょう。
では、また診療室でお会いしましょう。