歯科の豆知識

いい歯の日 ひみこの歯がいいぜ!

 

いい歯の日は、「11(いい)8(歯)」の語呂合わせをもとに、1993(平成5)年に、日本歯科医師会によって制定
されました。普段あまり意識していない方も、この日にはちょっと歯の健康を意識してみませんか?
今回は「噛む」ことについて特集してみました。

「よく噛む」とこんなに良いことが!

現代人の噛む回数みなさんはよく噛んで食べているでしょうか。
よく噛むことは単に食を楽しむためではなく、全身の働きを向上させ、健康な体を維持するのに重要な活躍をして
います。
しかし最近は、硬いものをうまく噛めない人が増えています。
カレーライス、ラーメンなど子どもが好きな食事は柔らかいものが多く、親もそういったものを子どもに食べさせることが多くなりました。
柔らかいものばかり食べて育つと、顎の骨の成長が遅れがちになります。結果、歯の成長とのバランスの崩れから歯並びが悪くなることが多いのです。同時に、硬いものを避けてよく噛むことをしないため、顎の関節の機能や噛むための筋肉の機能も低下していきます。
「よく噛まない」問題は子どもの間だけに起こっているわけではありません。

忙しいからといってゼリー飲料でエネルギーを摂る、食事時間短縮のために急いでご飯をかきこむ…などなど、現代人は昔に比べると、ずいぶん噛む回数が減っていると言われています。現代人の噛む回数は、昭和10年代の頃の約2分の1だそうです。

 

『ひみこの歯がいーぜ』ってなに?

 

                               学校食事研究会 食育標語 ひみこのはがいーぜ

 

ではよく噛むことは、具体的にどんな良い効果をもたらすのでしょうか。
その8大効用を学ぶための標語として生まれたのが、『ひみこの歯がいーぜ』なのです。

 

ひ 肥満予防

よく噛んでゆっくり食べると、緩やかに血糖値が上がり、脳の満腹中枢が刺激されます。早食いは肥満のもと、とはよく言われますが、よく噛むことで自然と食べ方がゆっくりになり、少ない量でも満足感が得られます。

み 味覚の発達

食べ物の味は唾液の中に溶けだして、それを味蕾(みらい)という舌の組織が感知することによって脳へ伝わります。
よく噛むことで唾液が多く分泌されて、味覚情報の伝達を助けているのです。

こ 言葉の発音はっきり

噛むという動作によって、上下の顎の骨や噛むための顔の筋肉が鍛えられます。顎の発達は歯並びにも良い影響を与えます。噛み合わせが良くなることで正しい口の開きができるようになり、正しい発音ができるようになると言われています。

の 脳の発達

よく噛むことで脳への血流が増し、脳の動きが活性化され、記憶力や集中力アップに繋がります。固形食を与えられたネズミと粉末食を与えられたネズミでは、固形食のネズミの方が学習実験の成績が良かったという研究データもあります。

は 歯の病気予防

唾液には歯周病菌やむし歯菌の繁殖を抑える作用や、酸の中和・再石灰化など歯の病気予防に重要な作用があります。
食べ物を噛むと唾液が分泌され、噛めば噛むほど唾液の量は多くなります。また顎の発達に伴いきれいな歯並びに
なれば、日々の歯のお掃除も楽になります。

が ガン予防 

唾液に含まれるペルオキシターゼという酵素は、食物内の発がん性物質を弱める働きがあります。

い 胃腸快調

食べ物をよく噛み砕くと、唾液と混ざり合って水分が増して飲み込みやすくなり、胃や腸で消化されやすくなります。
さらに、唾液に含まれる消化酵素アミラーゼの働きにより、体内での消化や吸収がアップします。

ぜ 全力投球

噛む、という行為は運動能力や体の様々な機能の発達にも影響するといわれています。また歯並びが良いと噛み合わせがよくなり、しっかり食いしばれるので力を発揮しやすくなります。さらに歯磨きもやりやすくなるので歯周病にもなりにくくなります。また、顔のゆがみの改善など、いいことがたくさんあります。

 

このように「噛む」ことは身体にとても良い影響を与えます。
いつまでも自分の歯でしっかり噛んでおいしい食事をとっていただくためにも、虫歯チェックや予防治療をぜひ受けて
みてくださいね。

 

 

 

 

参考:スーパー図鑑「歯周病」p.72「よく噛む」ことも大切より 監修者:小野善弘、中村公雄(株)法研
   学校食事研究会https://www.gakkounosyokuji.com/食育標語 ひみこのはがいーぜ