歯科の豆知識
旬で栄養に変化が?!
読書の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋!
秋になると松茸、ナス、柿、さんま…など旬を迎えた美味しい食材がたくさんスーパーに並びますよね。
秋に限らず、旬の食材はいつも以上に新鮮で濃厚な味がすると思いますが、それは一体なぜなのでしょうか?
答えは栄養価の違いにあります。
旬を迎えた食材はそうでない時期のものと比べて栄養価が高いとされています。
その違いは野菜や野菜に含まれる栄養素の種類によってさまざまですが、特にビタミンCとβカロテンは季節変動が
大きいとされています。
ここでは、夏野菜の代表「トマト」と、冬野菜の代表「ほうれん草」を比べてみましょう。
トマトでは、β-カロテンの差が明白です。旬のものは、旬でない時期のものに比べ含有量に約2倍の差がある
というデータもあります。(女子栄養大学調べ)。
ほうれん草では、旬の12月に採れたものに比べ、旬ではない9月に採れたもののビタミンCの含有量に
約3~4倍の差があることを示しているデータもあります。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)では、「夏採り」と「冬採り」で成分値の記載が分かれているほど。
季節によって栄養価の変動が大きい成分もあるのです。
もうすぐ旬を迎えるほうれん草には、ビタミンC以外にもさまざまなビタミン類、鉄分、食物繊維などが豊富に
含まれている非常に栄養価の高い野菜です。
特に植物由来の鉄分はレバーなどの動物食品に含まれる鉄分とは構造が異なり、吸収率は低くなってしまう
のですが、ビタミンCにはその吸収をサポートしてくれる効果があるため、鉄分不足の現代人にはとても重要な
食材です。
とはいえ、えぐみがあって食べると歯がキシキシして苦手…という人も多いでしょう。
そういったえぐみを取り除くために、昔からほうれん草は下ゆでしてから料理するのが一般的ですよね。
これはえぐみの正体である「シュウ酸」が水に溶けやすい性質をもっているからです。
ただし、ここで注意いただきたいのが、水に溶けやすい成分はシュウ酸だけではありません。
先ほどお伝えしたビタミンCも実は水に溶けやすいため、長時間ゆでてしまうとせっかくの栄養素がお湯に流れ出て
しまうのです。
鉄分の吸収率にも関わる大事な栄養素ですから、出来る限り無駄にしたくはないですよね。
ほうれん草を上手にゆでるためには3つのポイントがあります。
・ゆでる前に泥などの汚れをしっかり落とし、根本に十字の切れ込みを入れておく
・たっぷりの沸騰したお湯に、まず茎の部分だけ30秒、そのあと沈めて30秒ゆでる
(この時上下を1回だけひっくり返す)
・冷水で軽く冷やし、茎を揃えて水気を絞る
水につける余分な時間を減らすために、ちょっとの手間を惜しまず、ゆでる前の準備を大切にしましょう。
それでも面倒くさい、流出が気になるという方は、最近では生で食べられるサラダ用のほうれん草も販売されている
ので、こういった食材を試すのもいいかもしれませんね。
監修:管理栄養士 栗木ちあき