歯科の豆知識

キシリトール、むし歯予防の効果とは?

12月メインイベントといえば、クリスマス!

プレゼントに胸をはずませたり、ちょっと豪華な夕食に舌鼓を打ったりと、クリスマスが近づくとウキウキした気持ちになりますよね。

そして、クリスマスに欠かせないのが、クリスマスケーキ。

最近では色んな種類のケーキが販売されていますが、やはり定番はイチゴをたっぷり使ったショートケーキではないでしょうか。

甘くてちょっぴり酸っぱい、大人から子どもまで人気のあるイチゴですが、その甘さには驚きの栄養素が隠れています。

 

果物の甘さにはさまざまな糖が関わっています。

代表的なものは果糖ですが、イチゴには果糖に加え、キシリトールがたくさん含まれていることをご存知でしょうか?

キシリトール=ガムというイメージが強いと思いますが、キシリトール自体は天然に存在する糖質の一種です。

そしてこのキシリトールには、下記の3つの性質があります。

・清涼感のある味がする

キシリトールが含まれているガムを噛むと、口の中がスース―とひんやりしますよね。

イチゴを食べると甘酸っぱいだけでなく、何となく清涼感があるのもこのためです。

・歯を修復する

キシリトールを始め、一部の糖には口の中(唾液中)のカルシウムと結合することで、歯の再石灰化を促す作用があります。

・むし歯の発生・進行を防ぐ

むし歯の原因は糖から作られる酸ですが、キシリトールからはその酸が一切作られず、それどころかプラーク(歯垢)
内での酸の産生も抑える働きもあります。

同じ甘いものを食べるなら、この時期はキシリトールの入ったイチゴを選ばれてはいかがでしょうか?

ところで、歯医者で働いていると、よく親御さんから「市販のキシリトールが入ったガムとかタブレットとかって、
食べさせていいんですか?」というご質問をいただきます。

たしかに、キシリトールには上記のような歯に良い影響を与える作用がありますが、気を付けていただきたい点もいくつかあります。

・食べ過ぎるとお腹がゆるくなる

キシリトールは小腸で消化、吸収されにくいため、大腸内の浸透圧が高くなって下痢を引き起こすとされています。

メーカーの推奨量を必ず守って食べましょう

・キシリトール100%か

市販のガムやタブレットだと、「キシリトール配合」と書かれていても、キシリトールより他のむし歯になりやすい糖の方が多く含まれ
ていることがあります。

わざわざむし歯予防のために購入したのに、むし歯になりやすくさせてしまっては本末転倒です。

必ずキシリトールが何%含まれているか確認してから購入してください。

・甘いものを口にする習慣がつく

幼い子どもさんだと、たとえ歯にいい食べ物であったとしても、「お父さんやお母さんからもらった甘いお菓子」
という認識でガムやタブレットを食べます。

特にこういった商品は歯磨き後や寝る前の摂取を推奨しているので、これを与えておけば子どもが夜ぐずらなくて済む
というご家庭もあると思います。

ただ、幼少期に身についた習慣は大きくなっても続くもので、夕食後につい甘いものが食べたくなる、口寂しいと
味のするガムを噛んでしまう、といった「後遺症」が出てくる可能性もあります。

乳歯のときは頑張れていても、永久歯になってからむし歯がたくさんできてしまった…ではとても残念ですよね。

あくまでもキシリトールは補助食品です。

甘い飲み物・食べ物をだらだら食べない毎食後の歯みがきを丁寧に行うといった基本的な習慣を、
まずは見直してみてくださいね。

 

 

 

監修:管理栄養士 栗木ちあき