歯科の豆知識
たけのこのえぐ味の正体!
春の食材、たけのこ
寒さも和らぎ、そろそろお花見やハイキングに出かけたくなりますね。
大袖振って外出を満喫するにはもう少し時間がかかりそうですが、せっかく出かけるなら美味しい行楽弁当を準備したいものです。
今回はそんな春の行楽弁当にかかせない「たけのこ」について見ていこうと思います。
たけのこのえぐみの正体は?
たけのこは古くから日本人に愛される春の食材ですが、たまにえぐみがきつかったり、食べると歯がキシキシ
したりしますよね?
以前にほうれん草のコラムで紹介した「シュウ酸」が、たけのこにも豊富に含まれているため、独特のえぐみや歯の
不快感につながるのです。
シュウ酸以外にも、実はたけのこにはもう一種類別のえぐみが隠れています。
それが「ホモゲンチジン酸」です。
たけのこを湯がいていると、よく白いダマのようなものを見ると思いますが、これはチロシンと呼ばれるアミノ酸の
一種です。チロシン自体は摂取しても問題ないですし、むしろ旨味成分に分類されるものなので安心して食べてくだ
さいね。
ただし、このチロシンが酸化されるとえぐみの原因となるホモゲンンチジン酸に変化してしまいます。
収穫直後のたけのこは軽く湯がくだけで食べられるほどえぐみが少ないですが、これはまだチロシンが酸化されて
おらずホモゲンンチジン酸の量が少ないためです。
そこから徐々にホモゲンンチジン酸の量は増えていき、数日のうちにしっかりアク抜きしないと食べられないほどに
えぐみが強くなってしまいます。
スーパーで並んでいるたけのこの状態がこれですね。
たけのこのを茹でるのに、なぜ米ぬか?
ところで、たけのこのアク抜きに使われる材料といえば米ぬかや米のとぎ汁ですが、どうしてかご存知でしょうか?
米ぬかを入れた水や米のとぎ汁はアルカリ性になります。ホモゲンンチジン酸はこのアルカリ性の液体で中和されますので、米ぬかや米のとぎ汁はたけのこのアク抜きにぴったりなのです。
また同じくえぐみの原因物質であるシュウ酸は結石の原因物質でもありますが、米ぬかに含まれるカルシウムと結合すると無害な物質へと変化するため、一石二鳥のとても理にかなったアク抜き方法だといえます。
ちなみにたけのこ料理の定番である「若竹煮」も、ワカメにカルシウムが豊富に含まれるため、えぐみを感じにくく美味しくいただける調理法といわれています。
えぐみをしっかり取り除いて、美味しく旬のたけのこをいただきたいですね。
監修 たけち歯科 管理栄養士:栗木ちあき