歯科の豆知識

リンゴ=口臭予防+〇〇?

コウモリやジャックオランタンの飾りなど、だんだんとハロウィンの装飾が増えて街も活気づいてきました。

今年こそ仮装してパーティー!とはまだいきませんが、日常に少しでもハロウィンの楽しみを取り入れられるといいですね。

ハロウィンに欠かせない食材といえばカボチャですが、実はもともとは違う食材が起源だということをご存知でしょうか?

●ハロウィンの起源

ハロウィンの起源について、ヨーロッパの古代ケルト人が行っていた「サウィン」が起源といわれています。

今日本に伝わっているハロウィンの過ごし方は、実はヨーロッパ由来ではなく、ヨーロッパからアメリカに伝わって広まった本来のハロウィンとは異なるものなのです。

私たちの知っているハロウィンにはカボチャが欠かせないと思いますが、これもアメリカの風習で、本場ではカボチャのほかにリンゴやナッツがよく使用されています。

特にハロウィン定番のゲーム「アップル・ボビング」は、たらいに張った水に浮かべた丸ままのリンゴを口だけで取り出したり、ほかにもリンゴを使った占い的なものが行われたりしたようです。この「アップル・ボビング」にも深い意味があり、調べていくと面白いですよ!

 

さて今回は、そんなハロウィンつながりで、これから冬にかけて旬を迎えるリンゴについてみていこうと思います。

●リンゴの栄養

みなさんは風邪をひいたときにリンゴを食べませんか?

体調がすぐれないと食欲が落ちたり、のどが痛いと水を飲むのがやっとだったりすると思いますが、そんな時にリンゴはみずみずしく、さっぱりしていてのどの通りがよく、食べやすいですよね。

日本食品標準成分表2020年版によりますと、皮つきリンゴ100gのうち、約83%は水分です。エネルギー源となる糖質もリンゴ1個分で約32.5g含まれており、これはおにぎり1つ分に相当します。また、リンゴは満腹感を得やすい食材といわれており、さらに胃腸の調子を整えてくれる作用もあります。

こうした理由から、体が弱っているときにリンゴは手軽に水分とエネルギー源を補いつつ体を健康な状態へ戻してくれると、昔から重宝されてきたのです。

●フルーツを「糖のかたまり」と誤解しないで!

糖質の高い食べ物はダメ!ここ数年でそんな風潮になったように感じます。

それに伴い、主食のごはんやイモ類に加え、果物も糖質が多い食べ物だとして敬遠されるようになってきました。

たしかに糖質の摂りすぎがさまざまな病気の根源であることは明らかとなってきています。しかし、管理栄養士としてみなさんにお伝えしたいことは、それ以上に不足している栄養素がたくさんあるということです。

現代人はよくレンコン型の栄養失調に陥っているといわれています。

見た目はしっかりしていても中が穴だらけのレンコンと同じように、カロリーは摂取していても生きるために栄養素は全然足りていません。

低コストで満腹感の得られるものを企業が製造するために「糖」が必要だっただけで、昔から人間が口にしてきた果物など自然の食材をさらに遠ざけることは本末転倒です。

だからといって1日にリンゴを5個も6個も食べるというのは問題ですが、普通に食べる分には全く問題はありません。なにより果物から得られる恩恵を忘れてはいけません。

●リンゴのすぐれたパワー!

ではリンゴからはどんな恩恵が得られるのでしょうか?

まず1つ目は肥満予防です。

りんごに含まれるポリフェノール:リンゴポリフェノールには糖や脂質の代謝を抑制する働きがあります。

代謝が抑制されると体内に吸収されず、そのまま体外へ排出されますから、糖や脂質の摂り過ぎを防いでくれます。

またリンゴには食物繊維も含まれているため、腸内環境にもよい影響を与えてくれます。

このような効果が期待できる結果として、肥満を予防してくれるのです。

 

2つ目は口臭予防です。

ニンニクを食べたあとにはリンゴがよい!なんて一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

実はこれ、とても理にかなっていて、リンゴポリフェノールがニンニク臭の原因となるアリシンに反応し、口臭をおさえてくれるのです。

さらにニンニクだけではなく、一般的な口臭(生ごみ臭)の原因とされる物質の発生やむし歯の原因となる歯垢の形成を抑制する効果があるともいわれています!

歯科医院としては、ぜひおすすめしたい果物です。

●おすすめのリンゴの食べ方

ほとんどの野菜、果物でも同じですが、皮ごと食べるようにしましょう。

積極的に摂取したいポリフェノールは皮部分に多く含まれています

リンゴは特に皮ごと食べやすい果物なので、せっかくの栄養素を無駄にしたくないですよね。どうしても皮の触感が気になる…という方は、少し面倒かもしれませんが、すりおろすとそれほど気にならなくなりますよ。

ちなみに、リンゴは火を通すとさらに甘く、とても魅力的な美味しさに変化しますが、前述した効果を期待する観点からいうと、これは少しもったいない食べ方になってしまいます。

というのも、リンゴポリフェノールの代表ともいえるプロシアニジンは熱に弱いのです。

電子レンジでの短時間の加熱であれば問題ないとされていますが、オーブンやフライパンでの調理だと、プロシアニジンによる恩恵は受けにくくなります。

ですので、皮ごとカットしてそのまま間食やデザートにしたり、ヨーグルトやサラダに加えたりして生のまま食べるようにしましょう。

これからどんどんと寒くなっていきますが、リンゴを上手に食べて、お口も体も毎日元気に過ごしていきましょう!食べた後の歯磨きもお忘れなく!

 

 

監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明