歯科の豆知識

味噌汁から始める毎日の腸活

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

まだまだコロナの影響は大きいですが、みなさまはお正月をどのように過ごされましたか?

いつもより豪華なおせちを楽しんだり、家族みんなでおいしいものを食べたり、新年を贅沢にお祝いした方もいらっしゃることでしょう。

お正月に準備する料理は地方によって特徴が異なりますが、中でもお雑煮は汁から具材まで多種多様な文化があります。

 

●お雑煮の種類

 

京都でお雑煮といえば白みそに丸餅、金時人参、雑煮大根、かしら芋が一般的ですが、一つとなりの県に移るだけで内容もがらりと変わります。

中にはあんこ入りのお餅を雑煮にする!?県もあるようですよ!

ご興味のある方は、以下のURLを参考にしてみてください。
じゃらんニュース 2019/12/28 日本全国「ご当地お雑煮」27選。ふるさとの数だけ味がある

すまし仕立ての出汁でいただく地域も多いですが、さまざまな種類のお味噌が使われることの多いお雑煮。

今回は、お正月のお雑煮だけでなく、普段の食卓にもおなじみの「お味噌」に注目してみました。

●大豆からどうやってお味噌に?

 

人間にとって有益な微生物が、さまざまな有機物を分解・変化させることで、最終の物質を作り出す現象を「発酵」と呼びます。

たとえば、酵母が糖を発酵させてできるのがビール、乳酸菌が牛乳を発酵させてできるのがヨーグルトです。

お味噌づくりに必要な微生物は麹菌です。

麹菌のはたらきによって、糖やたんぱく質が分解されて甘みや旨みが生まれます。

すると、それをエサとする酵母菌や乳酸菌が誘発され、さらに複雑な発酵が進むことで、私たちのよく知る味わい深いお味噌が完成します。

これはつまり、お味噌には私たちにとって、とても有益な菌が豊富に含まれているということでもあります!

ちなみにお味噌の種類は以下の原材料で区別されます。

   ·  大豆      + 米麹     + 塩   → 米みそ 

   ·  大豆      + 麦麹     + 塩   → 麦みそ

    · 大豆麹     +                      塩   → 豆みそ

     2つ以上の麹を使ったもの→ 調合みそ

赤みそと白みそは熟成期間の違いによって生まれます。長いと赤みそ、短いと白みそとなります。

 

●菌をとると何がいいの?

では、お味噌を食べることでどんなメリットがあるのでしょうか?

最近よく聞く「腸活」にピッタリなんです!

腸活とは、腸の細菌バランスを整えることをいいます。

腸内には数百種類の腸内細菌が生息していますが、大きく分類すると3種類になります。

  • 善玉菌・・・ヒトの体に有用な働きをする菌 

   例)乳酸菌、ビフィズス菌など

  • 悪玉菌・・・腸内を腐敗させたり、有毒物質をつくる菌 

   例)大腸菌(有毒株)、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌など

  • 日和見(ひよりみ)菌・・・善玉とも悪玉ともいえない菌

日和見菌は人にとって有用な働きをする菌もいるが、免疫力が衰えてくると、悪玉菌として働くこともある。

からだの多くの不調は、この細菌バランスが悪玉菌に傾いていることに関与しているといわれているため、腸内の環境を整えることに着目した腸活が話題となっているのです。

その方法として、お味噌のような人間にとって有益な菌が豊富に含まれる食品を積極的に摂取することがあげられます。

●お味噌パワーの恩恵を!

 

麹菌や乳酸菌がたっぷり含まれるお味噌。

乳酸菌はそれ自体が腸内バランスに効果的ですし、麹菌は麹菌から作り出される産生物が善玉菌に良い影響を与えるとされているため、お味噌を食べるだけでも十分腸活にはなります。

ですが、さらに腸活に良い食べ方があります。

善玉菌が元気にはたらくためには、善玉菌のエサとなるものが腸内になくてはなりません。

・食物繊維(特に水溶性食物繊維)

・オリゴ糖

主にこの2つが善玉菌のエサとなります。

つまり、お味噌に加えてこれらが含まれる食品をあわせて食べることで、より善玉菌が増殖しやすい腸内環境になるのです。

水溶性食物繊維は納豆

オリゴ糖はバナナ

どれも手軽に手に入れられる食材ばかりなので、ぜひ一緒に食べるようにしましょう。

 

●菌が死んでしまったら?

「加熱殺菌されている味噌は菌が死んでいるから効果がない」

「酒精(アルコール)が入っているとか菌が殺菌されてしまって意味がない」

言われてみるとたしかにそうかも…と納得してしまいそうですが、

実際は「菌」についてはまだまだ未解明のことが多く、そうだという証拠もなければ否定できる根拠もありません。

 

ただ、最近の研究では、乳酸菌は死んでいる状態:死菌であっても、生きている状態に近い恩恵が受けられるという報告がされています。

特にお味噌は味噌汁や味噌炒めなど、加熱して食べることがほとんどですよね。

たとえお味噌の中に生きた菌がたくさんいても、そうやって食べる場合のほとんどは調理過程で死菌になるので、生きたまま菌を腸へ届けることはそもそもあまり期待できません。

もちろん、熱を加えずにそのまま食べれば生きた菌:生菌を腸へ届けることも可能です。

どちらにしても、腸内環境を整える作用があることには違いありませんので、日常的に摂取できるように心がけましょう。

個人的には、加熱殺菌や酒精が添加されていないお味噌は、お味噌本来の味や香りが損なわれずおいしくいただけるのでおすすめです。

 

●むし歯や歯周病菌にも効果的?!

私たち人間にさまざまな人種が存在するように、同じ乳酸菌にもさまざまな種類が存在しています。

中には、むし歯菌や歯周病菌に対しての抗菌作用を持つ乳酸菌がいることもわかってきています!

お口の中にも何百種類もの細菌がそれぞれのバランスを保ちながら生活していますから、毎日のお口のケアや食生活を改善して、腸内と同じようにお口の細菌バランスに良い変化を起これば、お口のトラブルも減っていくはずです。

そして、体内への入口であるお口がきれいになれば、腸内バランスにもさらに良い影響が生まれます。

腸活をされる方は、ぜひお口の状態から見直してみましょう。

 

 

 

 

監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明