歯科の豆知識
あなたの歯ぐきは赤い?黒い?白い?
●歯ぐきって何色がいいの?
歯ぐきと聞くと、みなさんはどんな特徴を思い浮かべますか?
健康な歯ぐきには、下記のような特徴があります。
・薄いピンクっぽい色
・きゅっと引き締まっている感じ
・歯と歯の間は三角形になっている
え?普通じゃない?と思われた方、実は意外とそうでない歯ぐきをされている方が多いのですよ。
●あなたの歯ぐきは何色?
健康な歯ぐきは薄いピンクっぽい色をしていますが、状態によって色が変わっていきます。
◆歯ぐきが赤っぽい
歯肉炎や歯周病になると、歯ぐきが炎症を起こし、赤っぽくなります。
「ちょっと歯ぐきが腫れてますね」と言われたことのある方に多い状態です。
・歯の際がぷっくりして赤くなっている
・歯と歯の間の三角形が少し丸みをおびている
文章上だとわかりやすいのですが、実際に自分でこのような変化に気づいて歯医者に来院される方は非常にまれです。
ほとんどの方は診察して初めて気づかれる、もしくはご説明しても「どれのこと?」と今一ぴんとこない方もいらっしゃいます。
そのくらい自覚症状がほとんどない状態です。
軽度~中程度の炎症のことが多いですが、この状態を放置していると、歯周病がさらに進行し、取り返しのつかないことになっていきます。
歯肉炎や歯ぐきの腫れ・炎症を指摘された方は、早めにお手入れ方法や食生活を改善することをおすすめします。
◆歯ぐきが紫~黒っぽい
このような色になる原因として、次のようなことが考えられます。
・歯周病が進行した状態
歯肉炎や初期の歯周病は、先ほど赤っぽくなることが多いとお伝えしました。
さらにその状態を放置していると紫っぽくなることもあります。
このような場合、歯周病がかなり進行している可能性があるため、すぐにでも歯科医院を受診されることをおすすめします。
・金属の影響
歯科治療のつめものには金属がよく使われます。
耐久性は高いので割れたり欠けたりすることは少ないですが、知らないうちに少しずつ金属の成分が溶け出していきます。
その成分が着色の原因となって、つめものをしている歯の周囲の歯ぐきだけが不自然に黒ずんでしまうことがあります。
一度色がついてしまうと、自然に色が抜けることはほぼありません。
・タバコや口呼吸などによるもの
タバコにはさまざまな有害物質が含まれています。
そうしたものから歯ぐきを守るために、シミなどの原因となるメラニン色素がつくられます。
通常はビタミンCなどの抗酸化物質によってメラニン色素の生成が抑制されますが、タバコを吸うとビタミンCが大量に消費されてしまいます。
この結果、タバコを吸う方は歯ぐきがどんどん黒っぽくなっていきます。
また口呼吸の方は、歯ぐきが乾燥状態になりやすく、こうした状態もメラニン色素がつくられる原因となります。
◆歯ぐきが白っぽい
・貧血や栄養不良
歯ぐきは毛細血管の集まりです。
そのため貧血がひどくなると、歯ぐきが血色を失って白っぽくなってしまいます。
全体的に白い場合は、ご自身の栄養状態を確認してみましょう。
・根尖病巣
根尖病巣(こんせんびょうそう)というのは、歯の根っこに膿がたまった状態のことをいいます。
たまった膿が行き場をなくして歯ぐきの方に腫れ出てくること、口内炎のように歯ぐきがプクッと白く膨らんできます。
つぶすと苦い膿の味がして不快になることもあります。
この状態を放置していると骨や隣の歯にも影響が出てくるので、早めに受診しましょう。
・口腔ガン
口内炎や他の症状と見分けがつきにくい厄介なガンです。
初期の状態だと「口内炎かな?」と放置してしまいがちですが、口内炎と違って口腔ガンは治ることがありません。
1週間ほど様子をみても治らない、もしくは大きくなっているようであれば、早めに受診されることをおすすめします。
歯ぐきの色の変化には、必ず理由があります。
このように歯ぐきの色は見た目の印象だけでなく、体からの重要なサインでもあります。
「私これかも…?!」と思い当たる方は、早めに対策を行った方がよいでしょう。
放置すると取り返しのつかないことにもなる危険があるため、自覚症状がなくとも、変化に気づいたときは早めにかかりつけの歯医者に相談するとよいでしょう。
●原因がわかったら根本解決を
「治療が終わった!=もう二度と再発しない」ではありません。
どの歯ぐきの変化においても、みなさんの日々の生活習慣が引き金となっていることがほとんどです。
歯肉炎や歯周病であれば、お手入れ方法や食生活の改善を行い、タバコや口呼吸などが原因であれば、禁煙やクセを治す矯正に取り組むなど、再発しないように生活を見直すことがとても大切です。
また金属など歯のつめもの・かぶせものが原因の場合も、金属フリーの素材(ジルコニアやセラミックなど)は金属のつめもの・かぶせものより高額なので、お金にゆとりがあるときでないと選ぶことが難しくなります。
歯肉炎や歯周病と同じように、そもそもむし歯にならないように生活習慣を改めることで、身体的にも経済的にもメリットが大きいですよ。
当院には管理栄養士が在籍しています。
お手入れ方法だけでなく、普段の食生活のアドバイスも行っておりますので、気になる方はぜひ一度ご相談くださいませ。