歯科の豆知識

オメガ3の効果とは?

梅雨時期になると、お出かけするのもおっくうになりますよね。

家でダラダラ過ごすことが増えると、ついつい手を伸ばしてしまうのがお菓子。

ポテトチップスなどのスナック菓子は、油断しているとあっという間に一袋なくなってしまう魅惑の食べ物です。

コロナがまん延してからはシアターセットの購入や動画配信サービスの契約など、おうち時間の充実化でさらなる”カウチポテト”を助長しているのではないでしょうか。

運動不足とともに気になるのが、脂質の過剰摂取です。

 

◆脂質とは?

オリーブオイルの回でもお伝えしましたが、脂質にはさまざまな種類があります。

そもそも脂質は重要なエネルギー源ですから、それ自体が良い悪いというものではありません。

食の欧米化が進んだ現代では、簡単に安くあぶらっこいものが手に入るようになったため、脂質の過剰摂取が問題となっています。

特に「飽和脂肪酸」と呼ばれる、いわゆるお肉などの脂身の摂りすぎは、大腸がんなどの生活習慣病のリスクを高めるとされています。

 

その中でも私たちが生きる上で欠かせないのが「必須脂肪酸」の存在です。

必須脂肪酸にも種類があるのですが、中でもオメガ3と呼ばれる脂質は、現代の食生活ではとても不足しやすく、意識して献立を考える必要があるといわれています。

 

・オメガ3とは?

α-リノレン酸、EPA・DHAを総称して呼ぶ脂質の種類です。

厳密にはα-リノレン酸が必須脂肪酸ですが、EPA・DHAもα-リノレン酸がないと体内で合成されないため、広い意味でEPA・DHAも必須脂肪酸と呼ばれることがあります。

オメガ3は動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用を持っています。

 

 

◆α-リノレン酸

亜麻仁油やえごま油に多く含まれます。

昨今の健康ブームでこれらの油を使用する方も増えてきているように感じますが、調理用油としての使用はあまりおすすめできません。

というのも、オメガ3は非常に酸化しやすい油だからです。

どのような油でも使い続けているうちに酸化していきますが、特にオメガ3はそのスピードが早く、ボトルの封を開けた瞬間から使わなくてもどんどん酸化が進んでいきます。

酸化した油は私たちにとって毒素ともいえる物質を含むため、上記の油を使用する際は使用方法と使用期間に注意が必要です。

 

◆EPA・DHA

魚に多く含まれる成分です。

魚離れが進む現代人にとって、ほとんどの人が不足していると言われています。

実は魚以外にも肉類などに含まれてはいるのですが、ごく微量であるため、実質魚以外から摂取することは困難とされています。

どの魚でも定期的に食べていれば不足することはないと思いますが、特に青魚に多く含まれているので、もしどの魚にするか迷ったときは積極的に青魚を選んでみるとよいでしょう。α-リノレン酸と同じように酸化しやすい脂質ですので、焼いたり揚げたりすると、本来含まれているEPA・DHAを効率よく摂取できないこともあります。

毎回は難しいですが、お刺身など生で食べる機会があると効果的です。

 

●実は歯周病予防にも!?

歯ぐきには毛細血管と呼ばれる細い血管が密集しています。

それは同時に、血管の炎症がダイレクトに現れやすい場所ということでもあります。

詳しいことはわかっていませんが、オメガ3は歯周病などの炎症作用を抑制する効果があると報告されています。

歯周病になっている人とそうでない人とを比べたときに、血清中のオメガ3の濃度に違いがあったという研究結果もあります。

血液が健康であれば、歯周病やその他の血管の病気の予防につながるので、一度ご自身の食生活を振り返ってみるのはいかがでしょうか?

 

●油と魚以外にオメガ3を摂る方法はないの?

もちろんあります!!

魚とまったく同じ成分ではないですが、それに近いものを手軽に摂ることができます。

それが「くるみ」です!

実はくるみにはオメガ3が豊富に含まれており、数粒食べるだけで1日に必要な摂取量を十分確保することができます。

またオメガ3以外にも普段不足しがちな栄養素がたくさん含まれているので、おやつやおつまみとして手軽に取り入れてみるとよいでしょう。

 

 

◎くるみの「ちょい足し」アイデア◎

・ヨーグルトと一緒に食べる

・乾煎りしたあとに細かくして和え物に加える

・キャラメリゼなどしてパリっと甘いお菓子に

・ハチミツなどと一緒にフードプロセッサーにかけてバター代わりに

 

そのまま食べてもおいしいくるみですが、ちょっとの工夫で毎日手軽に食べやすくなりますよ。

ただし、いくらオメガ3が身体にいいとはいえ、脂質には違いありません。

他の脂質同様に、食べ過ぎには注意が必要です。

何事もほどほどにしましょう。

 

今や食卓に欠かせない油。

普段何気なく選んでいる油にもさまざまな種類や特徴があります。

どの油も適切な量であれば、私たちの健康に恩恵をもたらしてくれる貴重な栄養素です。

それぞれのメリット・デメリットをよく理解し、健康的な食生活を送りましょう。

 

 

 

 

監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明