歯科の豆知識
コラーゲンの効果なし?美肌にはビタミンC!
本格的な暑さに夏バテ…そんな人もいらっしゃることでしょう。
大量に汗をかくので、なんとなくお口の中がスッキリする飲み物を買ってしまう気がします。
特に塩分が入ったものや、レモンなどの柑橘系の爽快なフレーバー、シュワシュワとした炭酸飲料などが売れていく
季節ですね。
今回はそんな夏の飲料によく添加されているビタミンCについてお伝えしていこうと思います。
●ビタミンCってなに?
ビタミンといっても多数の種類がありますが、ビタミンCは生きていく上で欠かせない非常に多くの役割を担っています。
ビタミンCの欠乏症として最も有名なのが、壊血病(かいけつびょう)です。
18世紀の終わりまで、長期にわたる航海に乗り出す船員たちの多くは、ビタミンCをほとんど、または全く摂取することがなかったため、壊血病にかかったり、それによって死亡したりしていました。
現在では、先進国でここまでの欠乏症は非常にまれですが、それでも食生活の偏りがある人にはいまだに発症が見られます。
♦〇〇な人はビタミンCが不足しやすい?
同じ年齢、体重の方でも、ビタミンCが不足しやすい方がいます。例えば…
♦タバコを吸っている人、または受動喫煙になっている人
さまざまな人体への影響があるタバコですが、ビタミンCもその一つ。
ビタミンCは抗酸化物質の一つで、紫外線やストレスなどの酸化ストレスから身を守ってくれています。
抗酸化物質については、以前のコラムでも紹介していますので、気になる方はそちらもご覧ください。
そして、タバコも酸化ストレスの要因です。
タバコを直接吸っている人だけでなく、日常的に吸っている人の近くにいる受動喫煙者も、この酸化ストレスが発生しやすいといえます。
このような方は、健康な人よりも多くのビタミンCを摂取することが望ましいとされています。
♦食事に偏りがある人
ビタミンCは野菜や果物に含まれていますが、多少食事に偏りがあっても、欠乏症が現れるほど不足することはありません。
ただし、食事を自分の意思でコントロールできない状況の方は注意が必要です。
・偏食の激しい方
・高齢者や小さなお子さま
・アルコール中毒などの依存症に陥っている方
・メンタルヘルス不調者
このような方の食生活は、通常から大きく逸脱した食事内容であることがほとんどです。
もし心当たりのある方が周りにいらっしゃれば、早急に適切な治療を受けるようにすすめることが望ましいでしょう。
♦病気にかかっている人
一部の病気では、ビタミンCの吸収率が低下したり、必要量が増加したりすることがあります。詳しくは主治医の方に相談してくださいね。
●コラーゲンとビタミンCの意外な関係
「コラーゲン高濃度配合」と聞くと、ついつい手を伸ばしてしまう方も多いのではないでしょうか。
これはコラーゲン=美肌というイメージがついているからだと思いますが、コラーゲンは体内で生成されるため、実は食べ物からコラーゲンを摂取する必要はないのです。
むしろ、適切な量と質の良いたんぱく質を摂取することの方がよほど大切といえます。
厚生労働省のサイト「コラーゲンについて」にも、同様の文章が掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。
そして、このコラーゲンの生成にはビタミンCが欠かせないということも忘れてはいけません。
必要なたんぱく質量を確保できていてもビタミンCが不足していると、コラーゲンは十分に生成されません。
つまり、「コラーゲン高濃度配合」などの食品を積極的に食べることよりも、たんぱく質とビタミンCを毎日の食事で補うことの方がよほど重要なのです。
また先ほどの酸化ストレスが多い方は、推奨されている量よりも多い量のビタミンCを摂る必要があります。
欠乏症にはならなくとも、美しく健康的な日々を過ごすためにはバランスのとれた食事が一番です。
●歯ぐきの健康にも影響が?!
お肌や関節を構成する成分としてのイメージの強いコラーゲンですが、歯ぐきもコラーゲンからつくられているのですよ!
実際にビタミンCの欠乏症の症状として、歯肉の炎症や出血、ひどいときには歯が自然に抜けてしまうということもあります。
歯周病を治療中の方、外科的な治療(抜歯やインプラントなど)で歯ぐきの治癒を必要とする方、歯ぐきの回復力を高めるためにもビタミンCをいつも以上に意識しましょう。
●この時期オススメの食材
ずばりブロッコリーです!
ブロッコリーにはビタミンCがたっぷり含まれており、1食で十分な量のビタミンCを摂取することができます。
ただし、ビタミンCは水溶性なので、長時間のゆで調理をしてしまうと水に流れ出てしまってもったいないです。
効率よくビタミンCを摂るのであれば、電子レンジ調理や無水調理をしてみましょう。
最近では電子レンジを使用した調理方法もたくさん紹介されていますので、ぜひ検索してみてください。
もしくは煮込み料理など、汁も一緒に楽しめる食べ方だと、流れ出たビタミンCを無駄にすることなくいただくことができます。
夏の暑いこの時期であれば、ポタージュやラタトゥイユにしてみるとよいでしょう。
監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明
参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
厚生労働省「統合医療」に係る情報発信推進事業 eJIM ビタミンC