歯科の豆知識
デンタルIQってなんだ?
「デンタルIQ=歯に関する知識の高さ」と思われた方が多いと思います。
これは知識や知能指数というよりも「歯とお口の健康への関心度・意識の度合い」のことなのです。
簡単に言うと、歯に関する知識ではなく「どれくらい自分の歯を大切に考えているか」ということです。
残念なことに、日本は「痛くなるまで歯医者さんに行かない!」という意識の方が多いようで、デンタルIQがとても低いのです。
上記の結果は公益社団法人 日本歯科医師会が2021年に発表した、全国20代から60代の男女1万人に聞く「デンタルIQに関する意識と実態調査」のものですが、やはりデンタルIQという言葉すら知らない方がほとんどです。
歯科衛生先進国のスウェーデンも、昔は日本と同じく「歯が悪くなってから治療する」スタイルでした。しかし、1970年代に「予防重視」の治療スタイルに変わり、むし歯と歯周病を大幅に減らすことに成功しました。
痛くなってからしか行動しない日本人と、痛くなくても行動をするスウェーデン人との意識の違いは、「歯科定期検診」の受診率をみても明らかです。
スウェーデンの受診率はなんと、80%以上あります。日本はたったの10%未満。
この差はかなり大きいですよね。
●わかっていても、いざとなると…
上記の結果をみて、ご自身にも当てはまる項目がありませんか?
わかっているのに、なかなか定期検診を受けることができない。
痛くもないのに面倒くさい。もしむし歯が見つかったら治療に通わないとダメだし…。
そうこうしているうちに、むし歯や歯周病はどんどん進行していきます。
その結果、後回しになるほど症状が悪化して、治療費も時間もかかり、痛みも増してしまいます。
かつて私も歯医者さんが大嫌いで、デンタルIQはありませんでした。当然むし歯だらけ。通っていた歯科医院もあまり熱心な予防に関する指導等もなく、いつも痛くなってから治療ばかりしていました。
たけち歯科クリニックに勤務して、歯を見てもらった時には、前の医院での詰め物がいい加減だったため、かぶせ物をしていたにも関わらず、むし歯と歯周病になっていたようで、奥歯を2本抜き部分入れ歯をすることになった経験があります。
もし、歯が痛くなくても定期検診を受けていたら、ここまで酷くなるまでに食い止められただろうと、本当に後悔しています。
若いころにはあまり感じられませんでしたが、年齢を重ねるごとに自分の歯でしっかり噛んで、なんでも食べられることの重要さがわかるようになってきました。
まして今や「人生100年時代」と言われています。
だからこそ、ぜひ今からでもデンタルIQをアップして、予防重視に切り替えていただくことをおすすめします。
●歯だけの問題ではなく、全身に影響が!
さらに、歯や歯ぐきの健康は、全身の健康と密接にかかわっています。以前にも「本当はとっても怖い歯周病」で歯周病のことを特集しましたが、歯周病になってしまうと、歯や歯ぐきだけの問題ではなく、炎症による毒素物質が全身にめぐり、様々な病気を引きおこしたり悪化させる原因になります。糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などにも関与しています。
また、妊婦さんが歯周病にかかっていると、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
こういったこともぜひ知っておいていただきたい内容です。
●歯みがきをしっかりやっているから大丈夫?
デンタルIQが高めの人は、お口と歯の健康を保つための歯みがき以外のセルフケアも行っている人が多いです。
たしかに、セルフケアとして、歯みがきをしっかりすることはとても大切なことです。
しかし、それだけでは「歯石」や「歯周ポケットの中の汚れ」など、歯みがきだけでは落としきれない汚れに対応できません。また、歯周病やむし歯は静かに進行していきます。気づかないことに気づけるのが歯の定期検診です。
やはり、歯科医院でのケアを定期的に受けることは、とても重要です。
歯や歯ぐきはあなたの大切な体の一部です。口から食べ物を食べて栄養を全身に運びます。その入り口であるお口の健康が保たれていないと、それはいつしか全身の健康にも影響が出てしまうことをお忘れなく。
いつまでも健康で、おいしいものを自分の歯でしっかり噛んで食べられるように、予防に励んでデンタルIQをアップしていきましょう!
ご自分のデンタルIQがどのくらいか気になる方はこの「デンタルIQチェッカー」
をやってみてくださいね。
当院の歯の豆知識にも、「歯(健康な天然歯)の資産価値は歯1本100万円、28本で2800万円の価値!」
なんて内容もありますので、ぜひ読んでみてくださいね。
参考:いい歯は毎日を元気にプロジェクト
特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 歯周病について歯周病が全身に及ぼす影響