歯科の豆知識

つらい口内炎 ビタミンB2不足のサイン?

●皮膚のターンオーバーについて

このターンオーバーは皮膚では通常約28~40日といわれていますが、口腔粘膜はもっと早く約9~14日で繰り返されるのです。

お口の中の傷の治りが早いのはこういった理由があるからです。

 

●粘膜はなにからできているの?

7月のコラムでもお伝えした、「コラーゲン」です。

コラーゲンは食べ物から直接得られるものではなく、食事から取り入れたたんぱく質をもとに体内で合成されます。

健康的な方であれば、日々のターンオーバーでお口の粘膜は再生を繰り返し、いい状態を保つことができます。

ところが加齢やストレス、たんぱく質不足などの影響によってターンオーバーがうまくいかなくなると、傷の治りは遅くなり、さまざまなお口の疾患にかかりやすくなってしまいます。

 

●粘膜の炎症「口内炎」

 

誰もが一度は経験したことのある口内炎。

口内炎の詳しい種類に関しては別コラムで紹介していますので、そちらをご覧ください。

そのほか口角にできるものを「口角炎」唇にできるものを「口唇炎」と呼びます。

一般的に口角のみの炎症は口角炎、唇全体に炎症が見られるときは口唇炎と呼び分けますが、併発している可能性もあるので一概には言えません。

こうした炎症があると、場所によっては口を開けるのも億劫になりますよね。

 

●口内炎は予防できるの?

ストレスをため込まないことが何より大切ですが、皮膚や粘膜に関わる栄養素が不足しないようにすることも重要です。

口内炎、口角炎、口唇炎に最も関わる栄養素は「ビタミンB2」です。

ビタミンB2には代謝をサポートする働きがあります。

三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質をバランスよく食べたとしても、体内で消化・吸収され、そして代謝されなければ、エネルギー源として使うことができません。

特に脂質の代謝にはなくてはならないビタミンで、普段からあぶらっこいものを多く食べる方は一緒に摂っておきたい栄養素です。

 

また、ストレスによってもビタミンB2は消費されていきます。

ストレスがかかると、人間はエネルギーを生み出そうとします。

エネルギーつくりに欠かせないビタミンB2が不足すると、十分にエネルギーを生み出すことができず、疲れがたまったようにだるさを覚えます。

寝ても食べても体の疲れが抜けなかったり、やる気が出ないと感じたときは、ビタミンB2が不足している可能性があります。

積極的に摂取しましょう。

 

●子どもの成長障害にも?!

育ち盛りの子どもはたくさんのエネルギーを消費しています。

また大人の体に向けて細胞が成長するためにも、代謝は欠かせません。

特に思春期の子どもはさまざまな栄養素を必要とする時期です。

友達と外食する機会も増えると思いますが、この時期にしっかりとバランスよく食べることがこれからの成長のカギを握ります。

ビタミンB2が足りないと、エネルギーの産生や代謝がうまくいかず、低身長などの成長障害を引き起こすリスクを高めます。

 

●摂り過ぎるとどうなる?

サプリメントを使用しない限り、ビタミンB2を大量に摂取することはないと思いますが、仮に多少摂り過ぎたとしても、ビタミンB2は水溶性の成分なので、尿から排出されていきます。
妊娠中や授乳中は必要な量が増えるので、体調がすぐれないときや食事だけでは不足が心配な方は、サプリメントも上手に活用するとよいでしょう。

 

体活動レベルⅡ(ふつう)のエネルギーの場合です。 ※1歳未満については推奨量ではなく、目安量です。

 

●ビタミンB2が含まれる食品

ビタミンB2は主に動物性食品に多く含まれます。

レバーやハツといった部位は特に豊富です。

レバーやハツは苦手…という方は鶏卵にも含まれているので、あまり卵を食べない方は一日1、2個追加するだけでも効果的です。

 

卵も食べているけど不足が心配…という方におすすめの食材は「納豆」と「アーモンド」です!

朝食に納豆1パック、おやつやおつまみにアーモンドを数粒追加するだけで、かなりのビタミンB2を摂取することができます。

特にベジタリアンの方は、動物性食品からビタミンB2を摂取する機会がないため慢性的に不足しやすいといえます。これらを積極的に取り入れて、不足のリスクを回避していきましょう。

 

ちなみに、納豆にもアーモンドにも、たんぱく質、カルシウム、鉄分、食物繊維など、日常的に不足しやすい栄養素もたっぷり含まれています。

どちらも手軽にかつ簡単に食べられる食材なので、ちょい足しでバランスの取れた食生活を送ることができますよ。

 

 

 

 

 

監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明