歯科の豆知識
奥歯が抜けたまま放置されると・・・
奥歯を失ったまま放置するとどうなるのでしょうか。
歯はたくさんあるから、1本くらいなくなっても大丈夫と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、大きな間違いです!
特に奥歯が抜けたまま放置されると、すぐに影響は出ませんが徐々に体に悪影響を及ぼします。
●反対側の歯が伸びる!
1本歯が抜けるだけで、大きな隙間ができることは想像できると思いますが、反対側の歯が接触する部分がなくなるので、なんと歯が伸びてきてしまいます。
伸びてきた歯を戻すことは簡単そうに見えてとても難しいです。
また、抜けてしまった歯の左右の歯が傾いてくることもあります。伸びた歯も傾いた歯も勝手に戻ることはないので、全体の咬み合わせバランスがどんどん悪くなっていきます。
そして食事をうまく咀嚼できないことで胃や腸にも負担がかかり、体調不良に・・時間が経つと歯茎が痩せてきて頬がこけて、顎もたるんでしまいます。
噛むことで脳に刺激を与えていますが、歯の本数が少なくなることで、記憶能力が低下することもわかっています。
奥歯が抜けることによって、負担のかかっている他の歯は、だんだんその負担に耐えられなくなりやがて無くなってしまいます。この繰り返しで、奥歯から順番に歯がどんどん無くなっていきます。
歯が少なくなればなるほど、残った歯の負担はさらに大きくなり、無くなっていくスピードは速くなります。歯止めが利かなくなってしまうのです。
まとめると歯が抜けたまま放置すると良くないことばかりです。
何年もかけてゆっくりゆっくり体に悪影響を及ぼします。
・反対側の歯が伸びてくる
・左右の歯が傾いてくる
・全体の咬み合わせが悪くなる
・食事をうまく咀嚼できない
・胃や腸に負担がかかり体調不良に
・歯茎がやせてくる
・頬がこける
・顎もたるむ
・記憶能力低下
●抜けたらどうしたらいいの?
抜けてしまった歯の治療法は、ブリッジ、入れ歯かインプラントの選択になります。
ブリッジや入れ歯は、短期的にみると治療費は少ないですが、どうしても他の歯に負担がかかってしまうので、数年後やがて再治療が必要になります。
最終的に総入れ歯になる確率が高いです。
何度も治療に通わないといけませんし、治療費もかさみます。可能であればインプラントをおすすめします。
●インプラントを行うことで得られる良いこと
・健康な体を保つ
インプラント治療はブリッジや入れ歯とは異なり、土台となる歯を削ることもなく、バネを他の歯にかけることもありません。
他の健康な歯に全く負担をかけないので、結果として今ある自分の歯の寿命を延ばすことが出来ます。
歯骨へ直接人口の歯を埋め込む事になるので咬合力を支える歯が増えることになります。
残っている自分の歯にかかる負担を分散させることが出来るので、自分の歯を守ることができます。歯の寿命を延ばすことが出来るので全身の健康を保つことにも繋がります。
・おせんべい、噛めます!
天然歯での咬合力を100%とすると、インプラントでは約90%とされており、ほぼ天然の歯と同じように咬むことができます。
ちなみにブリッジは約60%、入れ歯は40%以下とされているので、インプラントの噛む力がいかに高いかお分かりいただけると思います。
なので、インプラントにするとお煎餅などの硬い食べ物も、何の問題もなく噛めますし、
これまで食事の時に感じていた不満は一挙に解決することでしょう。
・脳が活性化
食事中に正しくしっかり噛むことで脳内の血流が増え、脳の運動野や感覚野、前頭前野、小脳などが活性化します。
さらに脳の中心に近い「海馬」という部分が刺激されます。
「海馬」が刺激されることで、位置や場所、方向などの空間認知能力もアップすることがわかっています。
●後悔する前に
インプラントは無くなった歯を補うことが目的ではありません。他の歯の負担を軽くすることで残っている歯や口腔内全体、体の健康を守ることが目的です。
ブリッジや部分入れ歯は他の歯に負担がかかり、最終的に口腔内全体を悪くしてしまうからです。
インプラントは手術が必要となりますので初めて手術をされる方にとっては不安を抱く方も多いかもしれませんが、しっかりと診断をおこなった上で治療を行いますのでご安心ください。(重度の糖尿病や骨粗しょう症の方はインプラントと骨の結合が良くない場合があるため治療が難しいこともあります)
奥歯が抜けたまま放置しても自然治癒することはありません。むしろ、状態は少しずつ悪くなります。後で「あの時治療しておけば・・・」と後悔する前に、まずは歯科医院を受診いただき早めの対策をお勧めいたします。