歯科の豆知識

尿酸とは?

 

紅葉の季節になりましたね。

秋服から冬服に少しずつ変わっていくこの季節、食べ物も秋の旬と冬の旬の両方を味わうことができます。

おいしいもの片手についつい飲みすぎてしまう…なんてこともあると思います。

そんなとき、特に男性の方で気になるのが「尿酸値」。

ところで、どうして尿酸値が高いとダメなのでしょうか?

 

●尿酸値が高いとどうなる?

尿酸値とは、血液中の尿酸の値をしめしたものです。

血液中の尿酸が高い状態(7.0mg/dl以上)を高尿酸血症と呼びます。

言わずと知れた痛風の原因となる以外にも、腎結石や尿路結石の原因にもなります。

そして、高尿酸血症は発症している方の中には、糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満などの生活習慣病や慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドロームを合併している方が多いという報告もあります。

これらは動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心疾患へと連鎖していくことで、最終的には命にかかわる病気の原因となっていきます。

生活習慣病は歯周病とも関連しているため、歯周病の方もこれらの項目はしっかりと確認した方がよいでしょう。

いずれにせよ、尿酸値が高い状態を放置することは非常に危険なので、高尿酸血症と診断されなくても油断は禁物です。

 

ちなみに、男性に尿酸値が高い人が多いのは、女性は女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされているからです。

ですので、閉経後の女性ホルモンが減少する時期からは、女性も尿酸値が高くなりやすいので注意しましょう。

 

●痛風・結石の仕組み

厚生労働省 国民生活基礎調査によると、2019年の痛風患者数は約125万人とされています。

これは前回の2016年の結果より、約15万人も増加しており、年々発症する患者数が増えています。これは欧米化した食生活と運動不足が大きく影響していると考えられています。

風が吹くだけで猛烈に痛いとされる痛風ですが、なぜそれほどまでの痛みが生じるのでしょうか?

通常、尿酸は血液中に溶けています。

ところが尿酸値が高い=血液中の尿酸の量が増えると、血液に溶け切れない過剰な尿酸が結晶となって関節や足先などに溜まります。

溜まった結晶を白血球が攻撃する=炎症が起こることで、痛みが出るのです。

痛みは数日~1週間程度でおさまりますが、尿酸の結晶がある限り、いつまでも再発します。

 

 

 

また、尿酸は尿から排出されるのですが、このときの尿酸濃度が高いと尿酸が結晶化して石のようになっていきます。

これが結石と呼ばれるものです。

結石ができるだけでは痛みは生じませんが、それがどこかに詰まったり、障害を起こしたりして激痛が生じるといわれています。

 

●尿酸の正体

ではその尿酸とはいったい何でしょうか?

尿酸とは、プリン体と呼ばれる物質が代謝されることでつくられる燃えカスです。

「プリン体を控えなきゃ!」というセリフを痛風患者の方からよく聞くと思いますが、これは食事から取り入れるプリン体を減らすことが、結果的に尿酸値を低下させることにつながるからです。

 

 

プリン体とは、生き物が生命活動するために欠かせない細胞の核を構成する成分です。

そのためあらゆる食べ物に含まれていますが、特にレバーやタラコなどの食品やビールに多く含まれています。

実はこのプリン体、必要な量のほとんどが体内で合成されるため、それほど食事から取り入れる必要はないとされています。

こうした背景もあって、尿酸値が高い方は、食事から取り入れているプリン体の量を見直す必要があるのです。

また、時々尿酸値の高い方で健康にいいからと、納豆を1日に摂取しすぎる方がいます。

1日1パックくらいにしましょう。

 

●尿酸値が下がらないのは?

とはいえ、「プリン体に気を付けていても尿酸値が下がらない」こんな経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それは、尿酸値が高くなる原因がプリン体だけではないからです。

先ほどもお伝えしたように、尿酸のもととなるプリン体は体内で合成される分がほとんどです。食事による体外からのプリン体の量が原因でなければ、尿酸を排泄する能力に問題があると考えてみましょう。

たとえば、血縁者に痛風患者がいる方であれば、遺伝的に尿酸の排泄能力が低い可能性があります。

また、理由は諸説ありますが、肥満やアルコールが尿酸の排泄能力を低下させるともいわれています。

こうした原因の場合、食事からのプリン体の摂取量にかかわらず、尿酸値は高くなってしまいます。

特に飲酒習慣のある方は、プリン体カットのアルコールなら大丈夫と思われているかもしれませんが、アルコール自体に尿酸値を上げる作用があります。

全体的な食生活・飲酒習慣を見直すことが大切です。

特に悪いところもないのにいつも尿酸値が高いという方は、上記のような原因がないか探ってみるとよいでしょう。

 

●尿酸値を下げる方法

適度な有酸素運動(ジョギングなど)は肥満対策にもなるのでおすすめです。

※無酸素運動である筋トレなどは、逆に尿酸値を上げてしまうことがあるため、尿酸値が気になる方にはあまりおすすめできません。

他にもこまめな水分補給を行うことで、尿素が排泄されやすくなります。

お茶や水などを積極的に飲むようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

参考:
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット高尿酸血症」

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット アルコールと高尿酸血症.痛風」

NHK健康「痛風の治療と症状、原因 尿酸値を高める危険因子とは」

(株)三和化学研究所 高尿酸血症の怖い合併症