歯科の豆知識
冬バテ? 冬に起こる栄養不足の正体
あけましておめでとうございます。
コロナがまん延してから初めての制限なしで迎えるお正月でしたね。
今年は比較的温かい年末年始となりましたが、皆さまはいかがお過ごしでしたか?
季節が進み、冬本番を迎えると体のあちこちに不調が現れやすくなります。
どうして冬になると体調を崩しやすくなるのでしょうか?
以前のコラムで冬は消費するエネルギーが増えるとご紹介いたしました。
初めてご覧になる方はぜひこちらの記事も参考になさってください。
一年中同じような食事をしていると、仮に夏ならバランスがよくても、消費するエネルギーが増える冬にかけては栄養不足となり、体が疲れやすくなってしまいます。
ここで大切なポイントは、不足するのはエネルギーだけではないということです。
少し人体の仕組みについて見てみましょう。
私たちが食事をするとき、口の中に入った食べ物は咀嚼によって細かく砕かれるとともに、分泌された唾液によって一部消化されます。
ごっくんと飲み込んだあとは食道を通り、胃に入ります。
胃酸に肝臓や膵臓などの臓器の働きも加わって、さらに消化されていきます。
次に腸へと進むと、栄養素と水分の多くがここで吸収されます。
最後に吸収しきれなかった不要なものが尿や便として排出されます。
これが消化・吸収の概要です。
そして、吸収された栄養素は体内に貯蔵され、必要に応じて消費されていきます。
消費するといってもその過程は複雑で、その栄養素ごとに辿る経路が異なります。
この過程のことを代謝といいます。
なぜ代謝するのかというと、人が活動するときに必要なエネルギーを生み出すためです。
代謝がいい人と聞くと、元気ではつらつとしていて、いつでもパワフルに生きているイメージがあると思います。
これは代謝によって必要なエネルギーが十分に生み出されているからなのです。
エネルギーを生み出すために代謝を行う。
代謝を行うためには体内に貯蔵された栄養素が必要。
栄養素を貯蔵するためには適切な消化・吸収が行わなければならない。
まとめるとこのようになります。
つまり、この経路のどこかに不調のある方は、体調を崩しやすいといえます。
では、本題に戻りましょう。
冬はエネルギー消費が増えて栄養不足に陥りやすいとご説明しましたが、図にするとこのようになります。
エネルギー消費増 = 代謝増 = 体内に貯蔵された栄養素減
いつもと変わらない食事をしているのに冬になると疲れが出やすいという方は、この体内に貯蔵された栄養素が枯渇しているからと考えられます。
栄養素というのは、三大栄養素のタンパク質・脂質・糖質だけでなく、ビタミンやミネラルなどもすべて含めたものを指します。
実はこのビタミンやミネラルが不足すると、代謝が上手くできなくなってしまうのです。
たとえばビタミンB群。
数あるビタミンやミネラルの中でも、ビタミンB群は特に代謝に深くかかわっています。
豚肉は疲労回復に効果的!という話はみなさんも耳にしたことがあると思いますが、これは豚肉にビタミンB1が多く含まれているからです。
なぜビタミンB1が疲労回復に効果的なのかというと、ビタミンB1は糖質、脂質、タンパク質、どの代謝においても必要とされる栄養素だからです。
特に糖質の代謝では切っても切れないほど重要な役割を担っています。
細かい説明は省きますが、白ご飯やパンなどの糖質をたくさん食べたとしても、ビタミンB1がなければ上手にエネルギーに変えることができなくなります。
普段からよく糖質を食べる人や運動量の多い方などは、ビタミンB1が枯渇しやすいので注意しましょう。
脂質の代謝に欠かせないのはビタミンB2。
髪や皮膚、爪などの再生に欠かせず、不足すると口内炎や口角炎などの皮膚トラブルが起こりやすくなります。
別名:発育のビタミンともよばれており、特に子どもで摂取量が不足すると、成長障害が起こることもあります。
その他、脂っこいものをよく食べる方はビタミンB2が枯渇しやすくなります。
その他、ビタミンB6は主にタンパク質の代謝にかかわっています。
最近では、美容や健康のためにプロテインを飲まれる方も多いと思いますが、そういう方は
体内のビタミンB6が不足しやすいかもしれません。
この状態でプロテインを飲んでもむしろ逆効果!
使い切れなかった余分なエネルギーは、脂肪として体内に蓄えられてしまいます。
健康になるどころか、どんどん体に負担をかけることになるので注意が必要です。
これ以外にも、私たちの体の中では、さまざまな栄養素が代謝のために消費されています。
気温が低くなる冬場はエネルギー消費量が増えるため、普段と変わらない生活でもいつも以上に栄養素を必要としますから、食事のバランスが体の調子を大きく左右することになります。
これが「冬バテ」の正体です。
「なんだか最近疲れやすい…?」そんな心あたりのある方は、ぜひご自身の食生活を見直してみてはいかがでしょうか?
インフルエンザやコロナウイルスに負けない体をつくるためにも、バランスのとれた食事を心がけましょう!
監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明