歯科の豆知識
ホワイトニングとクリーニングの違いとは?
「ジューンブライド」という言葉をご存知でしょうか?
日本では6月は梅雨時期で雨が降りやすく、じめじめとした暑さに包まれることから、結婚式には不向きな月とされています。
ところがヨーロッパには6月に結婚すると一生幸せになるという古い言い伝えがあり、この考え方が数十年前に広がって以降、ジューンブライドは日本人にとっても身近な言葉となりました。
結婚式は何かと準備が大変ですが、せっかく行うならより美しい姿を披露したい!そんな風に思われる新郎新婦も多いことでしょう。
当院でも結婚式を控えた患者さまから「歯を白くしたい」とご予約をいただきます。
なんとなくホワイトニングをしておけばいいのかな?と思われていらっしゃるかもしれませんが、一般的にクリーニングと呼ばれる治療とホワイトニングには、どのような違いがあるかご存知でしょうか?
今回はクリーニングと呼ばれる治療について見ていきましょう。
●お口の中の細菌量をコントロールする予防治療
当院では、一般的にクリーニングと呼んでいる治療を「予防治療」と呼んでいます。
その名の通り、病気になってから治療するのではなく、病気にならないように治療をすることを目的としているからです。
<予防治療の内容>
なぜ一般的にクリーニングや定期健診と呼ばれるのかというと、私たちが予防治療の中で行っている内容には、これらのメニューも含まれているためです。
予防治療全体としては、みなさんのお口の中の細菌量を減らし、むし歯や歯周病などになりにくくする治療を行っています。
・歯垢・歯石の除去
歯垢(しこう)とは、食べたあとの残りカスに細菌が繁殖した、白くてねばねばしたものです。別名プラークとも呼ばれます。
この歯垢を放置していると、次第に歯石(しせき)と呼ばれる石のように硬いものへと変化していきます。
この状態になると歯ブラシやフロスなどのセルフケアでは除去できなくなってしまいます。
歯垢も歯石もどちらも細菌のかたまりですので、放っておくとむし歯や歯周病の原因となっていきます。
・バイオフィルムの除去
歯垢もバイオフィルムの一つで、排水口によくできるぬめりと同じものです。
これは菌が集合体となってできた膜で、歯の表面がぬめっとしているのはこのバイオフィルムが原因です。
菌の集合体なので、当然こちらもむし歯や歯周病の原因となります。
これらについては過去のコラムで紹介していますので、気になる方はあわせてご覧くださいませ。
お口の中にたまっていた菌を除去したことによって、結果的に歯がツルツルになったり見た目がキレイになったりするため、クリーニングと呼ばれるようになったと思われます。
ただし、黄ばみや着色をとることを目的とした治療ではありません。
これらを取り除くためには次回ご紹介する別の治療を行う必要があります。
・食生活・歯みがき指導
むし歯や歯周病は食生活やセルフケアと密接なかかわりがあります。
たとえば同じ量・内容の食事をとるにしても、タイミングや食べ方一つで予防することができます。
また自分ではしっかり磨いているつもりでも、逆に磨きすぎていたり、磨けていないところがあったりなど、歯みがきの癖を知ることも大切です。
それぞれの患者さまにあった指導を行っておりますので、お気軽に何でもご相談くださいね。
・むし歯や歯周病などのチェック
歯垢などのバイオフィルムや歯石がついている部分は、よりむし歯や歯周病になりやすいといえます。
これらの下に隠れて見えていなかったむし歯や歯周病が、予防治療で除去したあとに見つかるということはよくあります。
お口の中がキレイになったあとで、異常がないかをレントゲンや目視で確認していきます。
「ちゃんと定期的に来ているのにまたむし歯?!」という方は、生活習慣やセルフケアに改善点が見つかるかもしれません。
・フッ素塗布
むし歯予防には、フッ素が効果的です。
ここでいうフッ素とは、フッ化物やフッ素化合物のことを指します。
予防治療の最後にフッ素を塗布することで、むし歯になりにくくなる効果が期待できます。
当院では高濃度フッ素(9000ppm)を塗布しております。
年に2~3回、定期的に塗布することで予防効果が持続します。
フッ素は水に溶けやすいため、塗布後30分は飲食をお控えいただく必要があります。
普段の歯みがきでもフッ素入りの歯みがき粉をお使いの場合も、軽く1回ゆすぐ程度で吐き出すようにしましょう。
何回もゆすいでしまうとせっかくのフッ素が口の中にとどまらず、効果を得にくくなってしまいます。
当院ではこのような予防治療を行うことで、みなさまのお口の中の健康をサポートさせていただいております。
普段のセルフケアが一番大切ですが、セルフケアだけでは減らしきれない細菌はプロの歯科衛生士にぜひお任せください。
健康のために運動したり食生活を見直したりするのと同じように、健康のために予防治療を受けることを選択されてはいかがでしょうか。