歯科の豆知識

インプラント費用は医療費控除の対象?

 

医療費控除をご存知でしょうか?

支払った医療費に応じて、支払った一部の税金が戻ってくるという国の制度です。

高額な治療を検討する際にぜひ活用いただきたい制度ですが、対象となる医療費には制限があるため、事前によく調べておく必要があります。

では歯科での治療費は医療費控除の対象となるのでしょうか?

 

●医療費医療費控除とは

まず医療費控除について詳しく見ていきましょう。

医療費控除とは、所得控除の一種です。

同じ年の1月1日から12月31日までに、一定額以上支払った医療費に応じて、所得控除を受けることができます。

具体的には、下記の要件で定められています。

 

A)納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

 

B)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。

 

<医療費控除の対象となる金額>

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。

(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額

 

(1)保険金などで補てんされる金額

(例) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など

(注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(2)10万円

所得税控除の早見表

※参考:「所得税の税率」-国税庁

 

慣れるまで確定申告は大変ですが、その分得られる恩恵も大きくなります。

特に所得税率の高い方は、活用しない選択はありませんよ!

 

●医療費医療費控除の対象となる医療費とは?

医療費控除の対象となる医療費には制限があります。

病気の治療や療養に必要とされる費用は医療費控除の対象ですが、例えば、一般的な顔の整形などは医療費控除の対象外です。

 

<対象となる医療費の例>

・風邪を引いたときに購入した風邪薬

・病気の治療のために病院へ通ったバス代

 

<対象外となる医療費の例>

・健康増進のために購入したサプリメント

・二重まぶたの整形

 

では歯科の治療費は医療費控除の対象となるのでしょうか?

 

●歯科の治療費は医療費控除の対象になる?ならない?

多くの場合で、医療費控除の対象となる可能性が高いです。

保険診療・自由診療にかかわらず、むし歯や歯周病の治療のための医療費であれば、控除の対象となります。

ただし、同じ治療内容でも、容姿を美しくすることを目的としている場合は、控除の対象外となります。

 

例:むし歯治療のあとの詰め物で、セラミック(ポーセレン)を選んだ

→控除対象〇

 

  歯の黄ばみが気になるので、歯を白くするためにセラミック(ポーセレン)を入れた

→控除対象外×

 

したがって、治療内容だけでなく、何を目的として支払った医療費なのかが、医療費控除を受けるためには重要なポイントといえます。

ちなみに、ホワイトニングは審美的な要素の強い施術ですので、医療費控除の対象外です。

 

●インプラント治療は対象?

1本50万円以上のインプラント治療は、歯科の中でも比較的費用の高い治療内容です。

一般的な歯科治療だけで、治療費が10万円を超えることはかなり珍しいので、当院で医療費控除を検討される方のほとんどがインプラント治療をお考えの方です。

インプラント治療にも、先ほどと同じことがいえます。

最近では見た目をよくするためにインプラント治療を受ける芸能人の方がいらっしゃいますが、こうした見た目を美しくすることを目的とした治療では、医療費控除の対象にはなりません。

多くの方は、むし歯治療や歯周病治療の過程でインプラントを選択されると思いますので、医療費控除の対象となる可能性が高いでしょう。

もし対象になるかどうかご不安な場合は、一度主治医の歯科医師に相談してみてくださいね。

 

●矯正治療は対象?

矯正治療も同様の考え方となります。

例えば、子どもの発達を阻害するおそれのある、噛み合わせの異常を治療するための矯正治療は、医療費控除の対象となります。

ほとんどの場合、いわゆる見た目をよくするための矯正治療にあたるので、医療費控除の対象外となる可能性が高いでしょう。

 

●ホワイトニングは対象?

ホワイトニングは歯を白くする治療です。

見た目をよくするための代表的な治療方法といえますから、残念ながら医療費控除の対象とはなりません。

 

このように、歯科の治療費も対象となるケースが多いので、いつもより金額が高い治療を受けた際には、ぜひ活用いただきたいものです。

 

例を見ない物価の上昇率で、家計への負担も大きいものとなっています。

物価を下げることはできませんが、こうした国の制度を上手に活用することで、その負担をやわらげることができますよ。

 

医療控除の対象となる歯の治療の具体例が国税庁のHPにもなりますので、参考にしてみてください。

 

 

 

 

 

参考: 国税庁 医療費を支払ったとき

医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例