歯科の豆知識

睡眠時無呼吸症候群(SAS)ってなんですか?

 

「睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースを作りたいのですが…」

このようなお問合せをいただくことがあります。

当院では、上記マウスピースの作成を行っておりますので、ご入用の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

さて、この睡眠時無呼吸症候群(SAS)、名前は聞いたことのある方も多いと思います。

一体どのような病気なのでしょうか。

 

●睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。

ただ呼吸が止まるだけならそれほど問題ではないのですが、無呼吸状態が長く続いてしまうと、そのたびに心臓や脳などの重要な器官に負担をかけることになり、重症化すると突然死を引き起こしかねない深刻な病なのです。

また糖尿病のリスクも増加させると言われています。

1時間に5回以上(いずれも10秒以上)、こうした無呼吸の状態になる方はこの病気が疑われます。

寝ている間のことなので自分自身では気づきにくいですが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆として多くの方に見られるのがいびきのひどさです。

もし周りにいびきに悩んでいる方、もしくはいびきがうるさいなと感じる方がいらっしゃれば、専門の病院を受診されることをおすすめしてください。

 

大人だけじゃなく、こどものいびきも心配な方は、以前の関連コラム「いびき」を侮るな!一歩間違えば命取りに?!もご覧ください。

 

●睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因

 

 

この睡眠時無呼吸症候群(SAS)には大きく2つのタイプがあります。

 

・閉塞型

空気の通り道である気道の一部が塞がってしまうことで発症します。
このタイプは呼吸する運動自体が止まっているわけではないので、いびきが伴います。

肥満体型の方に起こりやすいのですが、生まれつきアゴの小さい方や首が短く太い方も閉塞する危険性が高くなります。

 

・中枢型

呼吸の指令をつかさどる脳の機能に異常が発生して起こるタイプです。
呼吸運動のある閉塞型に対し、中枢型は呼吸そのものが上手く行えなくなるため、体型に関係なくいびきをかくこともありません。

はっきりとした原因は不明ですが、脳血管疾患や心疾患との関連性が疑われています。

 

・症状

寝ている間に下記のような症状が起こります。

 

・いびきが激しい

・眠りが浅く、何度も目を覚ます

・夜間の頻尿がある

 

この他にも日中に起こるものとして、

 

・朝起きると頭痛がする

・強い眠気が続いている

・記憶力や集中力が低下する

などがあります。

 

特に日中の眠気は重大な事故につながりかねないので、こうした症状を自覚、もしくは家族などに指摘されたら早急に治療する必要があります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、実際に診断を受けている人以上に発症している人が多いのではないかと言われています。

いびきや日中の眠気だけで病院にかかるなんて…と敬遠される理由も想像できるのではないでしょうか。

どんな病気もそうですが、何かが起こってからでは治療することが難しくなってしまいます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は呼吸器内科をはじめ、さまざまな診療科で診断が可能です。専門の外来を開設している病院もありますので、少しでもお心当たりのある方はお近くの各医療機関のホームページで確認してみてください。

 

●治療方法

肥満が原因の場合は生活習慣の改善や減量によって症状を改善させることも可能ですが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)には重症度に応じたいくつかの治療方法があります。

 

・持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)

生活習慣を改めても症状が改善しない場合、鼻に専用の呼吸装置を着用して就寝します。これをCPAP(シーパップ)療法といいます。
装着したマスクからは空気が送り込まれ続け、これによって気道が塞がるのを防ぐことができます。重症度の高い患者様に適応される治療方法です。

 

・マウスピース(スリープスプリント)

比較的軽症の方に適用されるのが、スリープスプリントと呼ばれるマウスピースによる治療です。下あごを前に出した状態で固定するマウスピースをつくり、眠っている間の気道を確保します。CPAPよりも持ち運びしやすいので、外出先で使用することも可能です。

 

・手術による治療

生まれつきの器質が原因であれば、気道のスペースを確保するための手術を行うこともあります。

 

●スリープスプリントの作成方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断書に基づき、当院ではスリープスプリントの作成を行っております。

医師からの診断書がある場合、スリープスプリントは保険適用で作成が可能です。

 

1.診断書の確認

患者様から診断書をお預かりいたします。診断書の内容を確認し、お口の状態を拝見していきます。

 

2.ご説明

スリープスプリントの料金や使用方法、使用するメリットなどをご説明し、ご納得いただいた上でお作りいたします。

 

3.型取り

患者様専用のスリープスプリントを作成するため歯型をとります。その後、約2週間で完成します。

 

4.お渡し

完成後にご来院いただき、実際に患者様のお口の中に合わせてみて、最終的な微調整を行います。問題なければ専用のケースとともにお渡しさせていただきます。

 

ご来院時、診断書をお忘れになる方が非常に多いです。

作成をご希望の際は、必ず診断書をお持ちいただきますよう、お願い申し上げます。

詳しくはこちら(本院HPのスリープスプリントのページ)も参考になさってくださいね。