歯科の豆知識
差し歯はホワイトニングできない?歯が白くなる仕組みを解説
▼目次
健康的で白く輝く歯は多くの方が求めるものでしょう。 差し歯を装着している場合、ホワイトニングが難しいことはご存知でしょうか? この記事では、差し歯にホワイトニングが難しい理由や、差し歯が黄ばむ原因、そして差し歯を長持ちさせるための具体的な方法について詳しく解説します。
1. 差し歯はホワイトニングで白くならない?その理由を詳しく解説
【差し歯と天然歯の違い】
まずは、差し歯と天然歯の違いについて理解することが重要です。天然歯は、表面が硬いエナメル質で覆われ、その下には柔らかい象牙質、さらに内部には神経や血管が存在しています。この構造により、天然歯はホワイトニングの薬剤の効果を受けやすく、色素が分解されやすいのです。
一方で、差し歯は人工的な素材で作られています。主に用いられる材料にはセラミック、レジン、金属、複合材料などがあります。これらの材料は全て精巧に設計されているため、見た目は天然歯に近いものの、その内部構造や反応性は天然歯とは全く異なります。
【ホワイトニングが差し歯に効果がない理由】
では、なぜホワイトニングが差し歯に効果がないのでしょうか? ホワイトニングの薬剤(過酸化水素や過酸化尿素を含む)の効果は、天然歯のエナメル質と象牙質に浸透し、そこで色素を分解することにあります。しかし、セラミックやレジンなどの差し歯の材料は、ホワイトニングの薬剤が浸透することができないため、差し歯が白くなることはありません。
こうした理由から、差し歯が黄ばみや変色を感じても、ホワイトニングでその問題を解消することはできないのです。
2. 差し歯が黄ばむ原因とは
差し歯が黄ばんだり着色したりする原因は何でしょうか?ここでは、いくつかの主要な原因について解説します。
①飲食物による着色
例えば、コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、ソース、タバコなど、色素が強い飲食物や嗜好品は差し歯の表面に着色物質を沈着させやすいです。このため、頻繁にこれらを摂取すると、差し歯が徐々に黄ばんで見えることがあります。
②磨耗と汚れの付着
差し歯は長期間の使用により、微細な傷や摩耗が生じます。この傷に汚れが溜まり、結果的に見た目が黄ばんで見えやすくなります。
③日常のケア不足
差し歯の健康と美しさを保つためには、適切なケアが欠かせません。ブラッシングやフロスの使用が不十分であったり、定期的な歯科受診を怠ったりすると、差し歯および周囲の歯にプラーク(歯垢)が形成され、それが着色物質を引き寄せ、黄ばみを引き起こします。
3. 差し歯を白くする方法・黄ばみを防ぐ方法とは
ホワイトニングによって差し歯の黄ばみは解消されないですが、差し歯を再び美しく見せる方法はいくつか存在します。
①専門的なクリーニング
歯科医院で行われるプロフェッショナルなクリーニングは、専用の機器や技術を使用し、差し歯の表面の汚れや色素を徹底的に除去します。これによって黄ばみが軽減されることが期待できます。
②セラミックやレジンの交換
差し歯が黄ばんで長期間経ってしまった場合、最も効果的な対策は新しい差し歯と交換することです。特にセラミックの差し歯はより白く自然な見た目を手に入れられます。
③差し歯表面の研磨
歯科医院では、専用の研磨剤などを用いて、表面の細かい傷や汚れを取り除くことができます。これにより、黄ばみが軽減され、差し歯が再び白く見えるようになります。
差し歯の黄ばみを防ぐためには、日常のケアが重要となります。以下の方法を実践することで、差し歯を長く美しく保つことができます。
①日常の適切なブラッシング
差し歯も天然歯と同様に適切なブラッシングが必要です。電動歯ブラシの使用も問題ありません。歯磨き粉はフッ素入りのものを選ぶとよいでしょう。むし歯や歯周病を防ぐために、歯ぐきと歯の境目をしっかりとブラッシングすることも重要です。
②定期的な歯科検診
歯科医院での定期検診を受けることで、問題が早期に発見され、適切なケアが施されます。また、合わせてプロフェッショナルなクリーニングを受けることで、差し歯の清潔さを維持することができます。
③食生活に注意する
色素が強い食品や飲料(例えばコーヒー、赤ワイン、カレーなど)を避けるか、摂取後には必ず口をゆすぐ習慣をつけることが重要です。また、こうした食品や飲料を摂取する頻度を減らすことも有効です。
④禁煙
喫煙は差し歯に悪影響を与えるだけでなく、口腔全体の健康を損なう要因です。従って、タバコを吸う習慣がある方は禁煙の検討がおすすめです。
4. 差し歯をホワイトニングしたい方へ
前述した通り、ホワイトニングは一般的に天然の歯に対して行われるものであり、差し歯(セラミックやレジンなどの人工歯)はホワイトニングの対象にはなりません。 ホワイトニングの主成分である過酸化水素や過酸化尿素は、天然歯のエナメル質や象牙質に作用して歯の内部の色素を分解し、歯を白くする効果がありますが、差し歯には作用しないため、差し歯の色を変えることはできないのです。
しかし、差し歯以外の歯が変色してしまっている場合、その歯をホワイトニングで白くすることは可能です。 差し歯の周囲の歯をホワイトニングによって希望の白さにした後、差し歯自体を希望の白さで新たに作り直すことできます。 つまり、ホワイトニング後に差し歯を周囲の歯に合わせて白く作り直すことで、理想の白い歯を得ることが可能です。
あらかじめホワイトニングを検討されている方で、差し歯などの人工歯を入れる予定のある場合は、ホワイトニング後の白さに合わせて色みを選ぶとよいでしょう。
いずれにしても、ホワイトニングまたは差し歯を入れる予定のある方は、歯科医師とよく相談し最適な計画を立てることが大切です。
差し歯はホワイトニングによって白くすることはできませんが、それでも差し歯を美しく保つための方法は存在します。黄ばみや着色の原因を理解し、適切なケアを行うことで、差し歯も天然歯と同様に白く美しい状態を維持することが可能です。日々のケアを怠らず、定期的に歯科医院でのチェックを受けることで、いつまでも美しいお口元を保つことができます。
差し歯があってホワイトニングを希望される方は、まずは京都の歯医者 たけち歯科クリニックまでご相談ください。
監修:武知 幸久
経歴:
1989年 徳島大学歯学部卒業
1997年 たけち歯科医院開業
2011年 医療法人社団翔志会
たけち歯科クリニック開設
京都市立病院 登録医