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はじめての歯科治療
小学6年生のある日、私は、前歯の歯と歯の間に小さくて、黒いむし歯が出来ていることに気付きました。
子供なりに、むし歯を放って置いたら良くないと思いましたので自宅から一番近い歯科医院に行くことにしました。これが、私のはじめて受けた歯科治療でした。最初の治療は、かなり痛くて辛かったことを覚えています。あの注射の針を刺す痛みは今でも忘れられません。
そしてあの”キュイ~ン”という痛そうな音でさらに恐怖心が増幅しました。
治療が終わってから先生から歯の神経を取ったからと伝えられました。その言葉を聞いて私は疑問に思いました。小さいむし歯だったのにどうしてたくさん削って神経を取ったのだろう。簡単な治療で終われると勝手に思い込んでいた私にはその言葉はショックでした。子供ながらにそう思った事を覚えています。その後、小学生の私は、もし将来私が歯医者になって、自分の家で歯医者をすれば、うちの近所の人達にもっと良い治療(?)が出来るのではないかと妄想(?)するようになりました。
これが将来の職業として歯医者を意識するようになったきっかけでした。
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恩師との出会い
それから大学の歯学部に入り、ほどほどに勉強をしました。(正直、あまり勉強は好きではありませんでした。)そして卒業後、大学の近くの開業医のもとで勤務医として修業することにしました。早く一人前になりたいと思っていたからです。しかし、卒後1年目の私には患者様の治療どころか、全く何もできませんでした。
自分の技術、知識、経験、さらに情熱のなさを痛感していました。大学で学んだことだけでは全く対応できず、いろいろなことをたくさん学びました。- できる限り痛みに配慮しなさい!
- お年寄りと子供を大切にしなさい!
- 患者様は君に何を求めているのかね!
- 自分なりのフィロソフィー(歯科医としての哲学)を持ちなさい!
- これからはインプラントの技術が必要な時代になるよ!
修行時代に院長先生から戴いた言葉のほんの一部です。今、私の歯科医としての基盤はここにあります。とても熱心な院長先生で当時は正直しんどい思いもしましたが、今では大変尊敬している恩師です。今でも大変感謝しています。
その後、縁あって京都の歯科医院で勤務することになりました。
この頃になりますと、ほんの少し臨床に自信と余裕が出てきましたので日々の診療からいろいろ学ぶことができるようになりました。そして自分が子どもの頃に受けた前歯の治療についても理解できるようになってきました。見た目が小さいむし歯でも長い間放置されているものは意外と奥まで進行していることがよくある。さらに、痛くなくても時には神経のすぐ近くまで進行していることもあり、神経を取らなければならないこともある。
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感謝
小学生当時、「自分のむし歯は小さい」と自分で勝手に思いこんでいたのかもしれません。
いろいろな知識と経験を重ねることで自分の考えは正しくなかったのではないかと思うようになりました。今、私の前歯はいわゆる”さし歯”になっています。
この歯の治療がきっかけで私は歯科医の道を意識することになりました。
さらに、この歯の治療を何度か受けることで患者様の気持ちも少なからず理解できるようになったのではないかと思います。私は、歯科医という道を選んで本当に良かったと思っていますし、自分に最も適した職業だとも思っています。
私が子供の頃、私の前歯を治療して下さった先生に、今では大変感謝しています。間接的に、様々な気づきを得るきっかけも与えてくださいましたし、なによりも、今の私は、この先生がいらっしゃらなければ存在していないかもしれません。
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たけち歯科
最初歯科と関わりを持った子供の時、私は患者様の立場から歯科を見ていました。
の見方は歯科医となった今でも変わっていません。
「患者様の立場から見る」ことが、たけち歯科を開業した時からの大切にしていることです。
よく耳にする平凡な言葉かもしれません。しかし、この一言にはいろいろな意味が込められています。
とても重みのある言葉だと理解しています。
患者様の立場から見れるから、互いの信頼関係を築くことができ、ひいては患者様の満足につながるのではないでしょうか。
「ここの歯医者に来て良かった!」と言っていただければ、それが私たちに対する最高のほめ言葉です。 -
未完成
たけち歯科は開業25年ですが、まだまだ私の目指している歯科医院の姿ではありません。
現在、 多くの患者様が来院されていますが、当院はいまだ未完成です。
日々、患者様から様々な気づきをいただき成長していきたいと考えています。さらには、医療サービスの向上に努めてまいりたいと思います。